外壁補修が必要な劣化の症状は?業者に依頼する場合の費用相場も解説

外壁は一般的に10年程度で劣化し、ひびや塗装の剥がれと言った症状が表れます。外壁は住宅の美観を守るだけでなく、紫外線や風雨、温度変化から室内環境を守っている部分です。劣化を放置した場合、美観が損なわれるだけでなく、雨漏りや内部構造のサビ、カビの繁殖など、より重大な症状が起こり、大規模な補修が必要になるケースもあります。
この記事では外壁補修が必要となる劣化の症状や、補修費用の相場、外壁補修業者の選び方について解説します。
目次
1.外壁の点検や補修は10年に1回がおすすめ
住宅の新築後、もしくは補修や点検を行ってから10年が経過している場合、外壁の点検や補修、再塗装を行うのがおすすめです。
外壁塗装には以下のような役割があります。
- 見た目を美しく保つ
- 外的刺激から外壁を守る
外壁の劣化を適切に補修しないでいると、住宅の印象が悪くなるだけでなく、雨や紫外線などによるダメージを受けやすくなるため注意が必要です。築10年や外壁補修から10年後の住宅は、外壁の劣化が始まっているケースがあります。
1-1.外壁に使う塗料の寿命は?
外壁の点検・補修を10年周期で行うようおすすめされるのは、一般的に外壁に使われる、ウレタンもしくはシリコン系塗料の耐用年数が10年前後であることが理由です。
外壁に使われる塗料の種類別耐用年数は、下記の通りです。
塗料の種類 | 耐用年数 |
---|---|
ウレタン系塗料 | 約6年 |
シリコン系塗料 | 約13年 |
フッ素系塗料 | 約18年 |
断熱塗料 | 約18年 |
光触媒塗料 | 約20年 |
住宅周辺の環境によって耐用年数は前後しますが、ウレタン系塗料の場合は6年程度、最大でも約10年で劣化します。また、耐用年数がより長期間の塗料でも、雪や雨、潮風など立地条件や環境により劣化が早まるケースがあります。10年周期で外壁の点検を行うことで、塗料の劣化を防ぎ、住宅の資産価値を高めることが可能です。
2.DIYで補修が可能な外壁の症状と修理方法
外壁の簡単な補修や清掃であれば、DIYでの対応も可能です。ただし、外壁塗装は難易度が高いため、専門業者に依頼するのがおすすめです。
また、DIYで屋根や壁など高所作業をする場合、足場が適切に組まれていなければ、事故の原因になります。DIYを行う方に向けて足場のみを組むサービスを行っている業者もいるため、作業効率向上と安全確保のために専門業者に足場を組んでもらいましょう。
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DIYで補修が可能な外壁の症状と具体的な修理方法を解説します。
2-1.0.3mm以下の細いクラッキング(ひび割れ)
クラッキングとは、外壁のひび割れを意味します。クラッキングを放置すると、ひびがさらに広がるケースがあり、建物内部のカビ・浸食の原因になります。クラッキングを発見したときは、早期に対処しましょう。
0.3mm以下のクラッキングであれば、ひびが外壁の表面で止まっている可能性が高いため、DIYでの修復が可能です。まずは、定規などを使ってひび割れの幅を測りましょう。
DIYによるクラッキングの主な補修方法は、以下の通りです。
【セメントスプレーを利用する場合】 | |
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1 | クラッキングに入った汚れをエアダスターなどで取り除く。 |
2 | スプレーの飛沫を押さえる場合、養生テープなどで周囲を覆う。 |
3 | ひびの内部に防水材を吹きかけ、乾くのを待つ。 |
4 | セメントスプレーを吹きかけ、スポンジを使ってならす。 |
【セメントチョークを利用する場合】 | |
---|---|
1 | クラッキングに入った汚れをエアダスターなどで取り除く。 |
2 | 指を使ってクラッキング部分に水を塗り付ける。 |
3 | セメントチョークをクラッキングに強く押し付け、すり込む。 |
4 | 補修部分に付属の硬化促進剤などを吹き付ける。 |
セメントスプレーを利用する場合、比較的作業時間が短い一方、スプレーの飛沫を避ける場合は養生などの作業が必要になります。セメントチョークを利用する場合、飛沫が拡散しない一方で、すり込む作業に力が必要です。
2-2.軽い洗浄で落ちる汚れや藻
外壁に付着した土埃や排ガス、藻などをそのままの状態にしておくと、外壁の劣化が早くなります。また、クラッキングに気づきにくくなり、対処が遅れる原因にもなります。軽い汚れや藻であれば、DIYでの清掃が可能です。外壁の汚れが気になる場合は、まず汚れの種類や状態を確認しましょう。
外壁の汚れを落とす手順は、以下の通りです。
1 | 汚れの飛び散りを防ぐために周辺を養生する |
---|---|
2 | 水をかけ、埃を洗い落とす |
3 | 洗剤・ブラシ・スポンジなどを使って汚れを落とす |
4 | ホースで水をかけて汚れをしっかり洗い流す |
ブラシやスポンジを使う場合は、外壁が傷付かないように優しく擦ることがポイントです。また、洗剤の成分が残ったままだと外壁の劣化につながるため、全体的にしっかり洗い流しましょう。
3.業者に依頼すべき外壁の症状とは
すでに外壁に劣化が始まっている場合や、外壁塗装が必要な場合は、DIYでの修繕は困難です。また、外壁の症状によっては、自分でするより業者へ依頼したほうがよい工事もあります。業者に依頼すべき外壁の症状を解説します。
3-1.0.3mmより大きいクラッキング(ひび割れ)
幅が0.3mmより大きいクラッキングは、「構造クラック」と呼ばれDIYでの補修は難しい状態です。構造クラックがある外壁は、内側に亀裂が発生している可能性があります。さらに、鉄部がサビ付いて膨張し、外壁を破壊する「爆裂」が起きている可能性もあるため、注意が必要です。
0.3mmより大きいクラッキングを見つけたら、症状が進行しないように早期に業者へ点検・補修を依頼しましょう。また、クラッキングが3mm以上ある場合は、すでに建物内部の侵食や腐食が進行している可能性が高いため、早急に業者による補修が必要です。
3-2.チョーキング
チョーキングは、塗料の成分が分解されることで起こる現象で、外壁を触った指にチョークのような白い粉が付着するのが特徴です。チョーキングが起こる主な原因は、雨や紫外線からの刺激による経年劣化です。チョーキングが起こった外壁は、DIYでの補修はできません。業者へ塗装工事を依頼しましょう。
チョーキングの有無は、下記の方法で確認できます。
- 触った指に白色もしくは外壁に似た色の粉が付くか
- 水で濡れると変色するか
水で濡れて変色する外壁は、塗料の防水効果が薄れて本来の役割を果たせていません。クラッキングや雨水による浸食を防ぐためにも、早期の対策が必要です。
3-3.藻やカビの繁殖
小規模な藻やカビであれば、DIYでも十分対応できます。ただし、自分では掃除しにくい場所に藻やカビが発生している場合は、安全面を考慮して業者に依頼しましょう。また、高圧洗浄が必要なレベルまで藻やカビが広がっている場合は、プロに依頼して徹底的に掃除してもらうことがおすすめです。
特に防水性が低下した外壁は藻やカビの繁殖が進みやすく、自分で完全に落とすことは難しくなります。カビの根が深ければ、せっかく掃除しても早い段階で再発する可能性もあります。
直射日光が当たらない場所や風通しが悪い場所は、定期的に外壁の状況を確認しましょう。早期にDIYでメンテナンスできれば、補修費用を抑えることが可能です。
3-4.コーキング材の劣化
コーキングの補修には、コーキング材の撤去や充填などの技術を要します。DIYでの補修は難しいため、コーキング材に劣化が生じている場合は、業者に補修を依頼しましょう。
コーキングには、外壁の隙間からの水の浸入を防ぐ役割があります。コーキング材は、ゴム状でやわらかくクッション性に優れていることが特徴です。
コーキング材の劣化を判断するポイントは、下記の通りです。
- コーキングの厚みが薄くなっていないか
- 表面にひびが入っていないか
- 外壁との間に隙間がないか
- コーキング材に裂け目や欠落がないか
厚みが薄くなっていたり表面にひびが入ったりしている場合は、経過観察で問題ありません。一方、隙間・裂け目・欠落がある場合は、補修が必要です。コーキング材の寿命は、約5〜10年です。耐用年数が長い塗料を使っている住宅の場合は、コーキング材が先に劣化することもあります。
4.外壁修繕の費用相場
外壁修繕にかかる費用は、坪数や塗料の種類などによって決まります。塗料の種類別の外壁修繕にかかる費用相場は、下記の通りです。
工事名 | 費用相場(30坪の場合) |
---|---|
外壁修繕(ウレタン塗料) | 約50万〜80万円 |
外壁修繕(シリコン塗料) | 約60万〜120万円 |
外壁修繕(フッ素塗料) | 約80万〜120万円 |
外壁修繕(光触媒塗料) | 約75万〜135万円 |
塗料の耐用年数が長いフッ素塗料や光触媒塗料を使用する工事は、費用相場が高くなります。ただし、フッ素塗料や光触媒塗料は、ウレタン塗料やシリコン塗料に比べてメンテナンスの手間が省けることが大きなメリットです。
工事の見積価格を比較する場合は、塗料の種類にも注目しましょう。
外壁修繕工事には一般的には約7〜10日間かかり、天候や職人の数によっては、1か月以上かかることもあります。外壁修繕を検討している方は、外壁修繕の費用相場や期間の目安を踏まえて、今後の計画を立てましょう。
各小見出しでは、修繕工事の項目ごとに費用相場を詳しく解説します。
4-1.ひび割れの修繕
ひび割れの修繕にかかる費用相場は、下記の通りです。
工事名 | 費用相場 |
---|---|
ひび割れの修繕(1か所) | 約1万円〜10万円 |
ひび割れの修繕費用は、外壁の種類や修理工法の違い、足場の有無などによって上下します。
モルタル外壁の場合は、軽いひびであればコーキング材の塗り込みと部分的な塗装で修繕可能です。ただし、目立つ大きなひびにはモルタル自体の再塗装が必要となるため、費用が高くなります。
タイル外壁の場合は、軽いひびであれば部分的にタイルを貼り直します。タイル周辺の目地にもひびが進んでいる場合は、割れ目を埋めた上で塗装が必要です。
4-2.コーキング材の充填
コーキング材の充填にかかる費用相場は、下記の通りです。
工事名 | 費用相場 |
---|---|
コーキング材の打ち替え | 700〜1,200円/1m |
コーキング材の増し打ち | 500〜900円/1m |
劣化したコーキング材の撤去 | 約1万〜3万円 |
コーキング材の補填にかかる費用は、使用するコーキング材の種類によって幅があります。アクリルやウレタンは、比較的安価な素材です。
打ち替えは、劣化したコーキングを取り除いて新しくコーキング材を充填するため、古いコーキング材の撤去にも費用がかかります。
増し打ちは、既存のコーキング材の上から重ねて補填する方法です。施工期間や費用を抑えられるというメリットがある一方で、「内部で亀裂が発生しても気づきにくい」「新しいコーキングがはがれやすい」などのデメリットもあります。
4-3.高圧洗浄
高圧洗浄にかかる費用相場は、下記の通りです。
工事名 | 費用相場 |
---|---|
高圧洗浄 | 100〜300円/1m2 |
バイオ高圧洗浄 | 200〜400円/1m2 |
埃や汚れ、カビやサビなどが付着したままだと、塗料の密着度が低下するため、外壁の汚れが気になる場合だけでなく、再塗装の前にも高圧洗浄作業が必要です。
カビやコケが根深く生えている場合、通常の高圧洗浄では汚れを落としきれないケースがあります。その場合、バイオ洗浄剤を混ぜた水を使ったバイオ高圧洗浄が行われます。
5.外壁補修には火災保険が利用できる?
経年劣化ではなく、火災や自然災害などの原因で外壁補修が必要になった場合、火災保険によって修繕費用をカバーできます。ただし、火災保険を適用するためには条件があります。加入している火災保険によってカバー範囲や特約は異なるため、条件を満たしているかどうか、まずは保険会社に確認しましょう。
外壁補修で火災保険を利用するための条件には、一般的に以下のようなものがあります。
5-1.火災や自然災害で外壁補修が必要になっている
通常の経年劣化では外壁補修のために火災保険を利用できず、火災や一部の自然災害が原因で外壁修理が必要になったときのみ利用が可能です。火災保険の対象となる自然災害の具体例は、下記の通りです。
- 台風
- 豪雨
- 強風
- 落雷 など
中には、洪水や高潮などの水害を対象とする火災保険もあります。まずは加入している火災保険の内容を確認しておきましょう。また、同じ自然災害でも、地震による被害は火災保険の適用にはなりません。地震による被害にも備えたい場合は、地震保険に加入しましょう。
加入している火災保険が免責型の場合、定められた免責金額分は自己負担となります。外壁補修にかかる費用が免責金額を下回る場合は、火災保険が適用されないため注意しましょう。
一方でフランチャイズ型の火災保険は、一定額以上の損害が全額補償されます。ただし、損害が一定額を下回る場合は、補償の対象外です。
5-2.被災から3年以内に申請をしている
火災保険を利用するには、被災から3年以内に申請が必要です。保険法では、3年以内に申請しなければ時効により権利が消滅すると定められています。
火災保険の対象でも、申請期限がすぎていれば保険金は受け取れません。3年より過去にさかのぼっての請求はできないため、期限内に忘れずに手続きしましょう。
すでに修繕が完了している場合でも、期限内であれば保険金を受け取れます。火災や自然災害で外壁補修が必要となったことを証明できる罹災証明書や工事業者などを用意して、火災保険会社へ相談してみましょう。
6.外壁補修を行う業者選びのポイント
外壁補修を検討する中で、「信頼できる業者に依頼したいけれどどこに依頼すればいいのか分からない」と悩む方も少なくありません。
外壁補修を行う業者選びには、注目すべきポイントがいくつかあります。外壁補修は、依頼する業者によって費用や仕上がりに差が出ることもあるので、ポイントを踏まえて業者を決めましょう。
外壁補修を行う業者選びのポイントを4つ解説します。
6-1.自社で施工を行っている
外壁補修を請け負う業者には、自社で施工を行う業者と下請けに任せる業者があります。工事の質や信頼性を優先したい方には、自社で施工を行う業者がおすすめです。
自社で施工を行う業者に依頼するメリットは、次の通りです。
- 現場での混乱が少なく施工がスムーズに進む
- 中間マージンがなく費用を抑えられる
- 責任の所在が明確になる
下請けが施工を請け負う場合、要望や作業日程の変更などの連絡事項が正しく伝わらないことがあります。自社で施工を行う業者であれば、情報伝達がスムーズになるだけでなく、補修費用を大幅に安くすることも可能です。
6-2.自社の施工実績を公開している
実績が豊富な業者の多くは、自社ホームページなどで施工実績を公開しています。業者の技術力には差があるため、施工実績をチェックして信頼できる業者かどうか判断しましょう。
施工実績で注目すべきポイントは、下記の通りです。
- 工事内容
- 使用した素材
- 費用相場
- 工事期間 など
工事内容や工事期間を参考にすると、外壁補修の依頼から完了までの流れをイメージしやすくなります。ビフォーアフターの写真やお客様からの声などがあれば、より詳しく業者の信頼度を把握できます。
6-3.必要な資格を取得している
必要な資格を取得している業者であれば、安心して作業を任せられます。業者選びで特に注目したい資格は、以下の2つです。
- 建設業許可(塗装工事業許可)
建設業許可(塗装工事業許可)は、国土交通大臣または知事が認める建設業を営む許可です。許可を得ている業者であれば、安心して工事を任せられます。 - 塗装技能士1級
塗装技能士1級は、塗装の技術や知識に優れた職人が取得できる国家資格です。受験には7年以上の実務経験が必要です。
出典:中央職業能力開発協会(JAVADA)「実施職種・作業内容」
特に塗装技能士1級を取得している職人が在籍する業者は、塗装のエキスパートと言えるでしょう。
6-4.アフターフォローがしっかりしている
業者選びでは、アフターフォローの充実度も重要です。外壁補修を行う業者の多くは、アフターサービスを実施しています。しかし、サービスの内容は、業者によって差があります。
アフターフォローの内容で注目すべきポイントは、次の通りです。
- 補修工事の有無
- 補修工事の内容
- 工事保証の期間
- 定期点検の頻度
誠実かつ丁寧な対応をしてくれる業者ほど、アフターフォローの内容が明確です。できるだけ工事保証期間が長く、定期点検の頻度が多い業者を選びましょう。
まとめ
外壁に使われる塗料は10年程度で耐用年数がすぎるため、10年に1回を目安として外壁の点検や補修を行うのがおすすめです。
0.3mm以下のクラッキングや簡単な洗浄で落ちる汚れは、DIYでも補修できます。一方で、0.3mmより大きいクラッキング、チョーキング、激しい藻やカビの繁殖、コーキング材の劣化と言った症状が起きている場合、業者に連絡しましょう。
外壁補修を行う業者を選ぶときには、自社施工を行っており、写真や動画付きで施工実績を伝えている業者がおすすめです。また、建設業許可や塗装技能士1級資格を保持しており、アフターフォローがしっかりした業者であれば、安心して外壁補修を任せられるでしょう。