シーリング材の劣化症状や原因とは?放置するリスクや対処法を詳しく解説!

屋根・外壁塗装の工事において、建物を長く快適に保つために「シーリング材」は重要な役割を担っています。
この記事では、シーリング材の劣化症状や原因、放置するリスクや対処法を詳しく解説します。
目次
1.シーリング材の役割と使用箇所
シーリング材は建築物において、外壁材同士の継ぎ目や隙間を埋めるために用いられるペースト状の材料です。
「コーキング材」とも呼ばれていますが、コーキング材もシーリング材もほぼ同様の意味で使用されており、建物にとって重要な役割を果たしています。
まずは、シーリング材の役割と使用箇所について解説します。
1-1.建物の防水性・気密性を高める
シーリング材は、外壁材同士の隙間やサッシ・建具まわりの目地(部材の継ぎ目)や隙間を埋め、建物の防水性や気密性を確保するのが主な役割です。
近年、多くの住宅の外壁には「サイディング」と呼ばれるパネル状の外壁材が使用されています。
複数のサイディングを張り合わせる際にできる1〜2㎝幅の継ぎ目や建物の合わせ目、隙間にシーリング材で充填することで、空気や埃の侵入を防ぎ、室内の快適性や断熱性を高めることができます。
このシーリングを施す事を「シーリング工事」と呼びます。
さらに地震や強風などで建物が受けるダメージを最小限に抑え、水漏れやシロアリの発生などのトラブルを防ぐ役割も果たしています。
1-2.シーリング材が使用される箇所と種類
シーリング材が使用されることが多い箇所は、以下のような箇所が挙げられます。
- 外壁の窓周り
- 換気扇周り
- 窓やドアのサッシ周り
- 浴室、キッチンなどの水回り
- 建物内外の隙間やひび割れ箇所
建物のさまざまな箇所で使用されるシーリング材。
そんなシーリング材にはいくつかの種類があり、特徴や適した使用箇所が異なります。
主なシーリング材の種類と施工箇所・特徴は以下の通りです。
| 種類 | 施工箇所 | 特徴 |
|---|---|---|
| シリコン系 シーリング材 |
・浴室、キッチンなどの水回り ・ガラス回りなど |
・耐候性、耐水性、耐熱性に優れている ・塗料をはじくため上から塗装が必要になる場所には使用不可 |
| 変成シリコン系 シーリング材 |
・窓やドアのサッシ周り ・サイディング目地 ・クラック補修、スレート屋根材など |
・耐候性、塗装性に優れている ・カラーバリエーションが豊富なため、特定の色に塗装したい方におすすめ |
| ウレタン系 シーリング材 |
・石材スレート ・木材など |
・密着性、弾力性に優れている ・安価な反面、紫外線に弱く、屋外での使用の場合は上から塗装が必要 |
| アクリル系 シーリング材 |
・ALC(軽量気泡コンクリート)目地など | ・価格が安く水性タイプで作業性に優れている ・耐久性と対候性に劣るためリフォーム現場ではあまり使用されない |
2.シーリング材の主な劣化症状
シーリング材およそ10年前後で経年劣化が始まると言われており、紫外線や風雨による経年劣化などさまざまな要因によって劣化症状が現れます。
シーリングの劣化が深刻化してしまう前に早めにサインに気づくことができれば、建物の寿命を延ばすことができるでしょう。
ここからは、シーリング材の主な劣化症状について詳しく紹介します。
- ひび割れ
- 黒ズミ・汚れ
- 目地からの剥離
- 欠落
- 破断
2-1.ひび割れ
シーリング材の最も典型的な劣化症状は、ひび割れです。 経年劣化や地震などが原因でシーリング材にひび割れが起こり、進行して大きくなると防水性が低下し、雨漏りの原因となります。
シーリング材のひび割れは目視で確認することができますが、ひび割れの幅が1mm以上ある場合はすぐに専門業者に点検を依頼しましょう。
シーリングを施工して数ヶ月〜1年以内くらいでコーキングがひび割れた場合には、施工不良が原因である可能性があります。
2-2.黒ズミ・汚れ
黒ズミや汚れも、シーリング材の劣化症状の一つです。
見た目が悪くなるだけでなく、塗膜(塗料を塗って固まることでできる薄い膜)の劣化を早め、建物の耐久性を低下させるため早急な対応が必要です。
よく見られる現象として挙げられるのが「ブリード現象」です。
ブリード現象とは、シーリング材の成分の一つである「可塑剤(かそざい)」という添加物が経年によって内部からにじみ出てくるために起こるものです。
シーリング材と塗料の相性が悪い場合や、紫外線や風雨や雨水の影響(経年劣化)によって発生します。
2-3.目地からの剥離
剥離とは、シーリング材の劣化や施工不良などによって外壁材やサッシ周りから離れて剥がれてしまい、目地(タイルや石材などの部材と部材の継ぎ目)と材壁の間に隙間が出来ている状態です。
剥離が発生すると建物の防水性や機密性を著しく低下させ、雨漏りの原因や建物の損傷につながるため、早急に対処する必要があります。
シーリング工事を行ってから5年以上経過してから剥離が見られた場合は、経年劣化と考えられるケースが多いです。
2-4.欠落
シーリング材の欠落とは、シーリング部分が下地から剥がれ落ちてしまい、内側の部材が見えている症状のことを指します。
シーリング材自体の劣化やプライマー(下塗り用塗料)塗布不足、シーリング材の選定不良などが原因で発生します。
シーリングの欠落を放置したままにすると、外壁や窓枠の隙間から雨水が侵入し、雨漏りの原因となるため注意が必要です。
2-5.破断
シーリング材の破断は、シーリング部分が裂けた状態のことを指します。
主な原因はシーリング材の劣化ですが、ひび割れを放置すると症状がさらに進行し、真ん中に大きな割れ目ができて破断につながってしまいます。
メンテナンスの際に、耐久性のあるシーリング材を選ぶことで破断を防ぐことが可能です。
破断の状態になる前に、補修を行うことが大切です。
3.シーリング劣化の原因は?
シーリング材の劣化症状が起きる原因としては、主に以下の4点が挙げられます。
- 経年劣化
- 紫外線
- 温度変化
- 施工不良
3-1.経年劣化
一般的なシーリング材の寿命は、10年前後です。
そのため、外壁などに施工後、経年劣化によって多くのシーリング材は劣化してしまいます。
劣化が進行すると、上記でご紹介したひび割れや黒ズミなどの症状を引き起こしてしまうため、シーリング材の経過年数を把握しておく必要があります。
3-2.紫外線
紫外線は、シーリング材劣化の大きな原因の一つです。
シーリング材には素材を保護するために「添加剤」が含まれています。
この添加剤は年月が経つにつれて効果が弱まり、永久的な効果を発揮するわけではありません。
外壁は常に紫外線にさらされているため、シーリング材に含まれる添加剤が表面に流れ出してしまうことで劣化が進みやすくなります。
よく日の当たる場所は劣化の進行が早くなるため、注意が必要です。
3-3.温度変化
外壁の材料は、四季の変化や日々の温度変化によって収縮と膨張を繰り返して目地幅などが変化します。
これを「ムーブメント」といいます。
シーリング材というのは外壁の間に設置されているものなので、外壁のムーブメントが起きるとシーリング材もその影響を受けてしまいます。
紫夏は高温、冬は低温など季節ごとの温度変化によってシーリング材は伸び縮みを繰り返し、結果として断裂や剥がれなどを引き起こします。
3-4.施工不良
シーリング材の劣化は経年劣化が主な原因ですが、施工から5年未満で剥がれてしまった場合、接着剤の塗り忘れなど「施工不良」の可能性も考えられます。
劣化が耐用年数よりも早い場合は施工不良の可能性があるため、万が一発見した場合には、劣化度合いに関わらず、施工した会社に施工のやり直しを求めましょう。
4.シーリング材の劣化を放置した場合のリスク
シーリング材の劣化を放置すると、深刻な問題に発展するリスクが高まります。
以下では、シーリング材の劣化を放置した場合に考えられるリスクを解説します。
- 雨漏り
- カビやシロアリの発生
- 光熱費の増加
- 美観の低下
4-1.雨漏り
シーリング材の劣化を放置してしまうとひび割れや剥がれによって「隙間」を生じさせ、外壁内部に雨水が浸入しやすくなり、雨漏り被害の原因となってしまいます。
住宅に雨水が浸入すると、内装だけでなく建物の構造部分や内部までダメージを与え、雨漏りやカビ、腐食などのリスクが高まります。
特に屋根周りのシーリングが劣化している場合は屋内に直接雨水が侵入し、天井や壁が濡れてしまうため早急な対処が必要です。
4-2.カビやシロアリの発生
劣化の放置によってシーリング材の防水性が低下すると、雨水の侵入経路となります。
雨水が内部に溜まると湿気がこもってカビやシロアリが発生しやすくなり、建物の構造に深刻なダメージを与える可能性があります。
カビが生える環境はシロアリの繁殖につながるため、シーリング材の劣化が見られたら早めに補修を行いましょう。
| 問題 | 主な被害 |
|---|---|
| カビ | 建物の耐久性低下 ・鼻炎や皮膚炎、ぜんそく、目のかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす ・建物の美観の低下 |
| シロアリ | ・ドアや窓が歪んで立てつけが悪くなる ・住宅の木材が食べられ、家全体の耐久性や耐震性が低下する ・被害が拡大すると大掛かりな修繕が必要になり、高額な修繕費用がかかる |
4-3.光熱費の増加
シーリング材の劣化が進行すると建物に「隙間」が生じます。
これにより断熱性能が低下して室内の温度が逃げやすくなったり、外気が侵入してしまいます。
冷暖房の効率が悪くなり、結果として光熱費が増加する原因となります。
4-4.美観の低下
シーリング材の劣化が進むと、表面にひび割れ、剥がれをはじめ、紫外線や雨水、カビ、藻などによる変色の症状が現れ、建物の美観を低下させます。
ほかにもシーリング材の性能を低下させるだけでなく、建物の資産価値が下がる可能性があります。
5.シーリング材が劣化している時の対処法と補修の費用相場
シーリング材が劣化したときの対処法は、「増し打ち」と「打ち替え」の2種類があります。
それぞれの工事の特徴とや費用相場、メリット・デメリットなどを解説していきます。
| 工事の種類 | 費用相場 | 工事内容 |
|---|---|---|
| 増し打ち | 約500〜900円/m | 古いシーリング材を撤去せずに、上から新しいシーリング材を充填する工法 |
| 打ち替え | 約900〜1,200円/m | 既存のシーリングを撤去して、新たにシーリング材を打ち直す方法 |
5-1.増し打ち
増し打ちは、古いシーリング材を残したまま新しいシーリング材を充填する工事です。
作業の手間は少ないため費用は抑えられますが、増し打ち工法では品質を担保するために条件が2つあります。
・既存のシーリング部分があまり劣化していない
・サイディングボードの厚さが15㎜以上ある
既存のシーリング部分がすでにひび割れなどの劣化が見られる場合は「打ち替え」が必要です。
●増し打ちのメリット
- シーリングを撤去しないため、使用するシーリング材も少なく費用が抑えられる
- 短期間の工事で完了する
●増し打ちのデメリット
- 古いシーリング材の上に重ねて施工するため、シーリング全体の寿命が短くなる可能性がある
- 打ち替えに比べて耐久性が低く、短期間で再びメンテナンスが必要になる場合がある
5-2.打ち替え
打ち替えは、傷んだ古い目地をカッターなどで切り取ってから、新しいシーリング材を充填する工事です。
目地撤去の手間がある分、増し打ち工事よりもコストがかかりますが、新しいシーリング材を充填することで建物の防水性や機密性が新築同様に回復し、耐久性がより高まります。
●打ち替えのメリット
- 新しいシーリング材に取り替えるため耐久性がより高まる
- 長期的な建物の保護が可能
●打ち替えのデメリット
- 工事費用が高くなる
5-3.「増し打ち」と「打ち替え」どちらがいいの?
外壁塗装におけるシーリング工事は、基本的に「打ち替え」で行うことがほとんどです。
打ち替えは、すべてを新しいシーリング材に取り替えるため耐久性が著しくアップします。 さらにサイディングボードなど外壁の目地にできる隙間をしっかりと埋めてくれるため、外壁の防水性、柔軟性、耐久性を最大限に高めることができます。
ただ、サイディングの厚さが15㎜以上の場合や、現状のシーリング材に劣化が見られない場合など、劣化状況によっては「増し打ち」ができるケースもあります。
適切な補修を行うためにも、外壁塗装業者による調査と診断を受け、適切な補修方法とシーリング材を選定してもらうことが重要です。
6.シーリング材を劣化させないための対策
建物を長く快適に保つために、シーリング材は重要な役割を担っています。
シーリング材の劣化を防ぎ、大切な家で快適に暮らすためにも、定期的なメンテナンスなどしっかりと対策を行いましょう。
6-1.定期的なメンテナンス
シーリング材のメンテナンスは、専門知識と技術が必要な作業です。
7〜10年を目安に信頼できる専門業者に依頼してメンテナンスを行い、必要に応じて補修を行うことが一番の対策になります。
定期的にメンテナンスを行うことでシーリング材の劣化を早期に発見し、大きな修繕が必要になる前に対処することができます。
業者を選ぶ際は、施工後のアフターフォローが充実している業者を選ぶことで、丁寧なサポートを受けることができます。
ホームページで「過去の施工事例」や「お客様の声」なども確認し、技術力や仕上がりの品質を把握することも大切なポイントです。
6-2.使用する場所や目的に合わせて適切なシーリング材を選ぶ
シーリング材は用途や性能ごとに「シリコン系」「ウレタン系」などさまざまな種類があり、耐久性や防水性能が異なります。
シーリング材を選ぶ際は、業者と相談し、施工場所や目的(耐水性・耐候性など)に合わせて適切な種類を選ぶことが重要です。
既存のシーリング材に剥離や破断などの劣化症状が見られる場合は、メンテナンスを行う際に、より耐久性を備えたシーリング材に変える必要があります。
劣化症状が見られた場合でも、打ち替え工事で耐久性と密着力に優れたシーリング材に変えることで問題を解消することができます。
まとめ
シーリング材は、目地や隙間を埋める役割を果たし、建物の安全性・気密性の保持という重要な役割を担っています。
定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早急に工事を行うことで建物の寿命を延ばし、安心して暮らすことができる環境を整えることができます。
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