外壁の吹付塗装 メリット・デメリット・劣化サインを解説

ご自宅の外壁をリフォームする際、仕上げの工法として吹付塗装を提案されて悩む方は多いです。
独特の重厚感や美しい模様が魅力的な工法ですが、事前に知っておくべき注意点も存在します。
この記事では、外壁の吹付塗装を行うメリットやデメリット、補修方法、費用相場について詳しく解説します!
目次
1.外壁の吹付塗装の基礎知識
吹付塗装とは、専用の機械に塗料を入れ、空気の圧力で霧状にして外壁に吹き付ける工法です。
1970〜90年代にかけての新築住宅で非常に多く採用された、実績のある伝統的な仕上げ方法となります。
現在主流となっているのは、職人が手作業で塗料を塗り広げていくローラー塗りという工法です。
ローラー塗りは塗料の飛び散りが少なく静かですが、平らでのっぺりとした仕上がりになりやすい特徴があります。
一方の吹付塗装は、塗料に砂などの骨材を混ぜて吹き付けるため、立体的で複雑な模様を作ることができます。
職人の技術によって模様の大きさや凹凸の深さを調整でき、デザイン性の高い外壁を実現することが可能です。
近年は塗料飛散の問題で減少傾向にありますが、和風建築やこだわりの洋風住宅で今でも根強い人気があります。
2.吹付塗装の種類
一口に吹付塗装と言っても、混ぜ合わせる材料やスプレーガンの口径によって様々な種類が存在します。
ここでは外壁塗装でよく採用される、代表的な工法についてそれぞれの特徴を詳しく解説します。
2-1.リシン吹付
アクリル塗料などに細かい砂や砕石を混ぜ合わせ、外壁に吹き付けてザラザラとした表面を作る仕上げ工法です。
落ち着いた艶消しの仕上がりになるため、和風の家屋や自然な風合いを大切にする住宅によく似合います。
他の工法と比べて初期費用が安いという魅力がありますが、塗膜が薄いため約8年程度で寿命を迎えることが多いです。
2-2.スタッコ吹付
セメントや合成樹脂の塗料に水や大理石の粉を混ぜ合わせて吹き付ける、リシンよりもさらに分厚い仕上げ工法です。
塗膜が5ミリ以上の厚さになることもあり、重厚感と立体感にあふれる高級感のある外壁を演出できます。
耐久性にも優れており10〜15年ほど持ちますが。深い凹凸があるため汚れが溜まりやすいことが注意点となります。
2-3.吹付タイル
けい砂などの骨材を混ぜず、樹脂系の塗料だけを吹き付けて表面に陶器のような艶やかな凹凸模様を作る工法です。
別名でボンタイルとも呼ばれ、表面が滑らかに仕上がるため汚れがつきにくく、ひび割れにも強いという特徴があります。
中塗りで模様を作った後に上塗りでしっかりとコーティングするため、防水性が高く10年以上持ちます。
3.外壁の吹付塗装のメリット
独特の魅力を持つ吹付塗装は、建物のデザイン性を重視する方に選ばれています。
外壁の仕上げ工法として吹付塗装を採用することで得られる、具体的なメリットをご紹介しましょう。
3-1.広範囲の外壁でもスピーディーに施工可能
専用の機械を使って塗料を一気に吹き付けていくため、ローラーの約2倍のスピードで作業を進めることができます。
広い面積の外壁であっても短時間でムラなく均一に仕上げることができ、工期を大幅に短縮することが可能です。
工事の期間が短くなることで、職人の人件費を削減できるだけでなく、日常生活へのストレスも最小限に抑えられます。
3-2.様々なデザインの外壁に対応
スプレーガンの先端にあるノズルを交換したり空気の圧力を変えたりすることで、無数の模様を作り出すことができます。
和風建築の落ち着いた土壁風からモダンな洋風建築の華やかな模様まで、建物の雰囲気に合わせて自在に調整可能です。
オリジナリティあふれる、こだわりの外壁デザインを実現したい方に良いでしょう。
3-3.塗装の効果が長続きする
吹付タイルなどの工法では塗膜を非常に厚く形成することができるため、外壁材を紫外線からしっかりと保護します。
ゴムのように伸び縮みする弾性塗料を使用して吹き付けを行えば、ひび割れを防止し防水効果が格段に長持ちします。
適切な下地処理と組み合わせて厚みのある塗膜を作ることで、15年前後、家を雨風から強固に守り続けることが可能です。
4.外壁の吹付塗装のデメリット
高いデザイン性や施工スピードの速さが魅力の吹付塗装ですが、機械を使うことによる特有の弱点も存在します。
工事を業者に依頼する前に必ず知っておくべき、吹付塗装のデメリットについて詳しく解説いたします。
4-1.塗料が飛散しやすい
機械の圧力で塗料を霧状にして飛ばすため、広範囲に塗料が飛び散るリスクがあります。
風の強い日には作業を中止する必要があり、足場の周囲には隙間なくメッシュシートを張るといった対策が不可欠です。
お隣の家との距離が近い住宅密集地では、車や洗濯物を汚してしまうトラブルが起こりやすいため慎重な判断が必要です。
4-2.汚れが蓄積しやすい
スタッコやリシンのように表面に深い凹凸ができる仕上げは、大気中の排気ガスや砂埃が隙間に引っかかりやすいです。
雨水だけでは汚れが流れ落ちにくく、日当たりの悪い場所では湿気が長期間留まって黒ずみ汚れが目立ちやすくなります。
美しい外観を維持するためには定期的な洗浄が必要となり、一般的な平らな外壁よりもお手入れの手間がかかります。
4-3.コストがかかる
専用の機械を持ち込む必要があることに加え、厳重な養生作業に多くの資材と時間がかかるため初期費用が膨らみます。
さらに塗料が空気中に飛散して無駄になる分が多いため、同じ面積を塗る場合でもローラーより多くの塗料を消費します。
高度な技術を持つ熟練の職人を手配する必要があるため、材料費と技術料の面でコストがかかることが多いです。
5.外壁の吹付塗装の費用相場と施工期間
外壁の吹付塗装を専門業者に依頼した場合、適正な工事費用が一体いくらになるのかは気になるポイントです。
一般的な延床面積30坪の2階建て住宅をモデルケースとした場合、足場代などを含めた総額費用は90〜140万円前後です。
選ぶ塗料のグレードや建物の傷み具合、必要な補修工事の規模によって数十万円の幅が生じます。
例えば寿命が約8年のアクリル系リシンを使用すれば安く済みますが、約15年持つフッ素塗料を選ぶと高額になります。
吹付塗装は養生作業に時間がかかる一方で、塗布作業自体は早いため全体の工期は10〜14日間前後です。
具体的な金額や日程を正確に把握するためには、複数の業者から見積もりを取り寄せてしっかりと比較検討してください。
| 項目 | 費用相場 (30坪目安) |
工期の目安 |
|---|---|---|
| 足場仮設 および 養生 |
20〜30万円 | 2〜3日間 |
| 外壁の 吹付塗装 一式 |
70〜110万円 | 8〜11日間 |
6.外壁の吹付塗装の放置リスク
外壁の劣化サインを軽いものだと見過ごし、適切な時期にメンテナンスを行わずに長期間放置するのは危険です。
寿命を迎えた吹付塗装をそのままにしておくことで発生する、深刻なリスクを具体的に説明します。
6-1.雨漏り
塗膜の防水性が切れてひび割れが発生すると、その小さな隙間から雨水がじわじわと建物の内部へと侵入を始めます。
壁の内部にある防水シートの限界を超えると、最終的に室内の壁紙や天井にシミとなって現れ雨漏り被害となります。
雨漏りが発生してからでは外壁だけでなく内部の修繕も必要になるため、工事費用が数百万円単位で跳ね上がるので注意が必要です。
6-2.カビやコケが繁殖
撥水効果が完全に失われた外壁材は常に水分を含んだ状態になるため、湿気を好むコケやカビが外壁全体に繁殖します。
特に表面に凹凸が多い吹付塗装は胞子が定着しやすいため、北側の壁などはあっという間に緑色や黒色に汚れます。
美観を著しく損なうだけでなく、繁殖したカビの胞子が室内に入り込むことにより、アレルギーなどの健康被害を引き起こすリスクがあることも頭に入れておいてください。
6-3.家の寿命を縮める
壁の内部に継続して水分が侵入し続けると、建物を支える大切な柱や梁などの木材が気付かないうちに腐食していきます。
湿った木材はシロアリの格好の餌食となるため、柱が食い荒らされると大きな地震が発生した際に家が倒壊する恐れがあります。
大切なご自宅にこの先何十年も安全に住み続けるためには、外壁の異変を放置せず早急に対処することが何よりも重要です。
7.外壁の吹付塗装の劣化サイン
大きな被害を未然に防ぐためには、外壁が発しているSOSのサインをいち早く見つけて適切な対処を行う必要があります。
ご自身で簡単にチェックできる代表的な劣化のサインを紹介しますので、晴れた日にご自宅の外周を確認してください。
7-1.ひび割れ
外壁の表面に髪の毛のような細い線状の亀裂が入っている場合は、塗膜が硬化して建物の揺れに耐えられなくなった証拠です。
特に幅が0.3ミリを超えるようなはっきりとしたひび割れは、すでに雨水が内部へ侵入している可能性が高い危険な状態です。
放置すると亀裂はどんどん拡大していくため、名刺の厚みが入るほどの隙間を見つけたら早急に専門業者へご相談ください。
7-2.塗膜の膨れ
外壁の表面が水ぶくれのようにぷっくりと膨らんだり、ペラペラとめくれて剥がれ落ちたりしている状態です。
これは内部に侵入した水分が太陽の熱で水蒸気となり、塗膜を内側から強い力で押し上げることで発生する現象となります。
下地が完全にむき出しになっており急速に外壁材の腐食が進んでしまうため、見つけ次第すぐに対処が必要です。
7-3.チョーキング現象
外壁の表面を手で軽くこすった際、チョークのような白い粉が手のひらにべったりと付着する現象をチョーキングと呼びます。
太陽の強力な紫外線や雨風の影響で塗料の樹脂成分が分解され、本来の防水機能が完全に失われていることを示しています。
このサインが出た場合、すでに外壁を雨風から保護する力がなくなっているため、塗り替えの時期が近いです。
8.外壁の吹付塗装の作業工程
美しい仕上がりと長持ちする外壁を実現するためには、正しい手順で丁寧な作業を行うことが絶対に不可欠です。
専門業者が実際に行っている5つの基本的な作業工程について、順番にそれぞれの重要な役割をご説明いたします。
8-1.高圧洗浄
約150キロ圧という強力な水圧を発生させる専用の機械を使用し、外壁にこびりついた古い汚れやコケを洗い流します。
この作業で10年分の蓄積した汚れを根こそぎ落としておかないと、上に塗る新しい塗料が外壁にしっかりと密着しません。
最低でも丸1日の時間をかけて家全体をくまなく洗浄し、その後しっかりと乾燥させるための重要な準備工程となります。
8-2.下地調整
外壁の表面が完全に乾燥したら、発生しているひび割れや欠けを専用の補修材を使って一つずつ丁寧に埋めていきます。
塗膜の剥がれがある部分は古い塗料をきれいに削り落とし、表面を平らに整えることで仕上がりの美しさを高めます。
外壁塗装の寿命を決める重要な作業であり、職人の技術が問われる工程です。
8-3.養生
吹付塗装では塗料が広範囲に飛散するため、塗料がついてはいけない場所をビニールシートやテープで完全に覆い隠します。
窓ガラスや玄関ドアはもちろんのこと、植木や車庫の車、エアコンの室外機など対象となるものは多いです。
この養生作業を隙間なくきれいに張れるかどうかで、最終的な塗装の仕上がりのラインの美しさが変わります。
8-4.下塗り
下地処理が完了したら、既存の外壁材とこれから吹き付ける新しい塗料を強力に接着させるための専用の下塗り材を塗布します。
シーラーやプライマーと呼ばれる接着剤のような役割を持つ塗料で、見えなくなる部分ですが非常に重要な土台となります。
傷んだ外壁に塗料が吸い込まれるのを防ぐ役割もあり、壁の材質に合わせて適切な下塗り材を選定するプロの目が必須です。
8-5.中塗り・上塗り
下塗りが完全に乾燥したらいよいよ専用のスプレーガンを使用し、塗料を霧状にして均一に吹き付けていく作業に入ります。
中塗りでしっかりと模様や凹凸のベースを作り上げ、その上に同じ塗料で上塗りを行って耐久性のある厚い塗膜を形成するという流れです。
職人は風の強さや気温を考慮しながら壁との距離を一定に保ち、ムラや液だれがないよう慎重に美しい外壁を完成させます。
9.外壁の吹付塗装のメンテナンス
お気に入りの美しい外壁を長く良好な状態で保つためには、日頃からの適切なケアが何よりも欠かせません。
家を長持ちさせるためのメンテナンスのポイントと、具体的な対処方法について分かりやすくご紹介いたします。
9-1.年に1回程度は柔らかいブラシで優しく水洗い
表面の凹凸に溜まった排気ガスやホコリの汚れは、1年に1回程度ホースで水をかけながら柔らかいブラシで落とすことが大切です。
あまり強くこすりすぎると表面の砂粒が剥がれ落ちたり塗膜を傷つけたりしてしまうため、優しく撫でるように洗ってください。
こまめに汚れを落としてあげることで、カビやコケの繁殖を防ぎ新築時のような美しい外観を長期間キープすることができます。
9-2.ひび割れを見つけたら早めにシーリング材で補修
幅が0.3ミリ未満の細かなひび割れを見つけた場合は、ホームセンターで買えるシーリング材を使って早めに隙間を埋めます。
専用のパテを隙間にすり込むことで、これ以上水分が建物の内部へ侵入するのを防ぐ応急処置として効果を発揮します。
ただし大きな亀裂や手の届かない高い場所に複数発生している場合は、無理をせず専門の職人に任せましょう。
9-3.業者に頼む
2階の外壁や屋根の近くなど、脚立を使わなければ手が届かない高い場所の清掃や補修作業は転落の危険が伴います。
また素人の判断で間違った補修材を使ってしまうと、後から本格的な塗装をする際に塗料が乗らなくなるトラブルも多いです。
安全で確実なメンテナンスを行い、家全体を正確に診断するためにも、足場を組むことができるプロの業者に頼むことが大切です。
まとめ
外壁の吹付塗装は、独特の美しい質感やデザイン性を実現できる一方で、ひび割れや汚れには十分な注意が必要です。
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